幼児のオイリュトミーは、大人とはずいぶん習い方もすることも違います。「立って歩く・話す・考える」ことの土台ができる3歳くらいからオイリュトミーを始めるのがよく、幼児教育の基本である模倣と繰り返しを通して習慣をつくることが、オイリュトミーの時間にもそのまま当てはまります。

子どもたちは輪になって、オイリュトミー教師が語る短い言葉やお話、昔話を全身で聞き、その身ぶりを写し取ります。つま先でちょこちょこ歩いたり、強く踏みしめたり、様々な歩みをし、体と心の成長を助ける子音や母音を、シンプルな動作で動きます。題材は季節ごとに変化していき、手遊びや足遊びの要素を取り入れて、小さな子どもの体をリズムある動きへと導いていきます。

出来栄えとか習得の早い遅いは問題にされません。子どもたちの身心が、楽しく動きの中で息づくことだけが大切です。そのようにオイリュトミーを規則的に体験することによって、「まっすぐに立って歩き、話し、考える」三つの力は、しっかりと子どもの中に根付き、将来、子どもが自分自身になっていく大きな助けとなるのです。

オイリュトミーが、小さな子どもの体のすみずみに行き渡り、足を強くし、呼吸を整え、新陳代謝を促し、健やかな動きをするように。幼児と一緒のオイリュトミーをする時、私は、余計なものを自分の中から取り除き、光とあたたかさで満たされるように、毎回、高度な試みの前に立たされます。それでも、小さな子どもたちと動く時間には、神聖とも言い表したいよろこびがあります。